俺は泣いてる仁奈子の腕を引いて、保健室の窓を三回叩いた。



「真由!あけろ!!!」


「ちょっとーなによもう。コーヒーメーカーの掃除してるの・・に。て、何女の子泣かせてんのー?」



のんびり鍵をあける真由。


俺は開いた窓から保健室に入って、仁奈子もひきあげた。



「ふつーに玄関から入ればいいじゃーん・・・!」



ってわんわん泣いてる仁奈子。


・・・お前は初めて会った日から、情緒不安定すぎる。


保健室にあったティッシュで仁奈子の涙を全部拭いとった。



「・・・泣くな。ちとせは生きてる。・・・だから泣く必要がねえだろ。」



仁奈子だけには、もっと強く信じていてほしい。


俺たちが信じていれば、叶う気がするから。



真由がめずらしく俺たちにまでコーヒーをついでくれた。


仁奈子は涙を止めて、真っ赤な鼻をこすってる。



「瞬くん、コレ見たよ。合格おめでとう。」



そういって真由が差し出したのは、ローカル新聞の切り抜きだ。



「教え子が医学部か。鼻が高いわ。」



真由はちっせえ目を細めて笑う。



「真由から教えてもらった3Cは全部俺の解ける範囲だったけどな。」


「へーぇ?だれがココ、貸してあげたと思ってんの?」



「・・・それは、すげえ感謝してる。つうか、それを言いに来た。」


「え?」



真由はぽかーんと、間抜けな顔をして、俺をみつめた。