真っ暗な病室で、携帯の明かりだけ、ぽつんと灯して。


涙を溢れかえらせながら、震える手で文字を打った。




To:武石 瞬

―――

ドナーがみつかった

―――



すぐに電話が鳴った。



「もし、もし…っ。」


『見つかったって…。…なんで泣いてんだよ?』




電話口で、あたしは何も返事を返すことができなかった。



30分以上、泣き続けるあたしを、瞬はときどき、優しい言葉で慰めながら、心によりそっていてくれた。



『明日、朝イチでいくから。な。』


「・・・っ。うん…。っく。」



電話を終えて、布団をかけた。



真っ暗な病室で、頭をめぐる。



脳死と判断されても、生きている...人。



きっとあたしと同じくらい、もっと生きたかった、誰か。



その命がなければ、あたしは死ぬ。


でも、そうやって奪われた誰かの命が、あたしの中に消えるなら・・・。


・・・人、殺し・・・。




「・・・・っ。」



涙が拭っても、拭っても溢れかえる。



「・・ちーちゃん。一緒に、考えよう。」



お母さんは小さな電気をつけて、泣きじゃくるあたしの頭を撫で続けた。



「ごめ…ん。おか…さん。」



生きるって、簡単なことが・・・うまくできなくて、ごめん。



その日は一睡もできなかった。