そうしていたらすぐに、誰かの足音が近づいた。


「貰ってきた!!足出して!」


息を切らせたイズミちゃん。


手には茶色いテープと氷のうを握ってた。



「動かせる?」


「大丈夫だから。」


「折れてないかなぁ?」


「自分でできるから。ありがと。」


「いいから!私、元サカマネだったから。テーピングうまいよ。」



イズミちゃんは慣れた手つきでテーピングして、その上からハンカチにくるんだアイスノンを当てた。



「ちょっと休んでなよ。」


「あぁ・・。さんきゅ。」





・・・ああ、あたしって、


本当に何にもできないんだな。



「ちとせも座れよ。休んだ方が・・」


「・・大丈夫。心配かけて・・ごめん。」




惨めだな。



瞬の隣で少し乱れた脈を、今だけは落ち着け、落ち着けって神頼み。




あたしの隣にイズミちゃんが座った。



ふわっと香る、大人っぽい香水の匂い。



耳元で小さな澄んだ声が聞こえてきた。



「・・・普通は彼女だったら、ぼーっとしてないで一番最初に助けてあげるべきじゃない?」




すっと立ち上がって、あたしを見下ろした。



あたしは何も言えず、目の前の綺麗な人を見上げる。



「私なら、そうするけどね。」



小さな声で、そう言って去っていった。