後半も瞬は出突っ張り。


相手のチームも後半からは結構強くて、いつのまにか得点が並んでる。



・・・なのに、瞬がすっごく楽しそう。



瞬が半ぞでの体操着のすそで汗を拭ったら、黄色い悲鳴があがった。


もうどんな歓声でも慣れてきたなぁ。



「負けんなよー。ここで負けたら俺らが瞬と当たれねえじゃん。」


一馬くんもはらはらしながら応援を続けてる。



「武石くーん!!がんばってー!」


「瞬くーん!!」


そこらじゅうで歓声が始まる。



「ちぃちゃんが応援したら、あいつの本調子が見れるかも。」



一馬くんに笑いながらそう言われた。


「あれでまだ本調子じゃないの!?」


仁奈ちゃんが聞くと、一馬くんはにっと笑った。



「ちぃちゃんさぁ、”瞬かっこいいー”とかって叫んでよ。」


「えぇ!?恥ずかしいよ!」


「なんで?みんな他の女子だって叫んでんじゃん。紛れて言ってみて!お願い!」



一馬くんがそういうから、瞬にボールが渡ったとき、あたしは手を口元に添えて叫んだ。



「瞬ー!かっこ・・いい!」



って、こんなの照れるよ!


かんじゃった・・・!!



「ははっ。なんでかんだ?」


一馬くんは笑いながら瞬の様子を見てる。



「お、ちぃちゃんの声届いたんじゃね?ちょい見とけよ。」



残り時間はもうわずか。


ボールが跳ねる音、きゅっと靴がこすれる音。


瞬がボールを持ってる限り、歓声はなりやまない。



敵陣のゴール下は相手の守りがかたそうだなぁ・・・・。



瞬は自陣から、弄ぶように相手を抜いていく。



なのに、ゴールにはまだまだ離れたところで立ち止まちゃった。




「あれ?」


って思った瞬間、まさかのシュートを打った。



「「「きゃー!!!!!」」」



ボールはゴールにストンと吸い込まれた。



「・・ははっ。すげぇ。スーパープレイ。」



「瞬くんすごい!!!」



仁奈ちゃんと一馬くんが飛び跳ねてる隣で、あたしはただ瞬の姿に心を奪われてた。



拍手も歓声もなりやまない。



ピーッというホイッスル。


なんで3点分得点がめくられたんだろう?


とにかく、瞬のシュートが決め手だったみたい。


瞬のチームが勝った。






瞬はすぐにあたしたちのほうを見上げた。




あたしが惚れ惚れとした表情で瞬に手を振ると、瞬は目をそらしてから片手をあげてくれた。



・・・どきどきしすぎて胸が苦しいくらい。



「ちぃちゃん、惚れなおしちゃった?」


一馬くんがにやにや尋ねる。


あたしは何度もうなずいた。



「あ、でも・・最初から好きだけどね?」



って訂正したら、一馬くんが「瞬くっそうぜぇー!!」って叫んだ。