ホイッスルの音で試合が始まった。


「瞬たちはあっちのゴールにいれるんだよね?」


「うん。え?そっから?」


あたしが聞くと、一馬くんは苦笑い。


瞬がボールに触れるだけで、そこら中から歓声が上がってる。



・・あんなにぴったりと体にボールがついて行くなんて。


バスケなんて全然わかんないあたしにも、瞬がうまいのは見てわかる。



「お、抜いた。2回のドリブルで抜いちゃうだろ?あいつテンションあがるとすげえよ。」



「うん・・!」



瞬が何人も抜いて、ゴール下から軽やかにシュート。


「「「きゃー!!!!」」」



ホイッスルの音がかき消されるほどの歓声があがる。


めくられた得点板。



「まだ開始したばっかりなのに・・すごい。」



余裕ありげにコートを走ってる。



まわりの女の子たちみたいに、あたしだって歓声をあげたくなるくらい、瞬がかっこよくてどきどきがとまらない。





「はぁ・・・かっこいい。」




思わずため息がでちゃう。


コートの中で、瞬がまっすぐゴールの方へと人を抜いて行く・・そう思ったら突然パッと味方にパスしちゃう。



そのまま味方の子がシュートを打って、また1点。



「うま。ナイスアシスト。」


一馬くんも目をきらきらさせながらコートを見下ろしてる。



・・暑くなったのかな。



瞬は汗を袖で拭ってから、長袖を脱いで放り投げた。



「「「きゃー!!!!!」」」



それに反応するように、ものすごい歓声が響く。