「・・・お、瞬だ。前半からでるみたいだな。」



長袖のジャージ、腕をまくって。



瞬はあたしたちの目線のすぐ下にいて、肩を回してる。



コートに立つ姿、わくわくしてるように見える。



あたしは口元に手をあてて、思わず叫んじゃった。




「瞬ー、がんばって!」



瞬はバッと顔をあげて、あたしをちらっと見た。


そして片手をあげて、すぐに目線は離れた。



「あ。目、そらされちゃった。」



ずんと落ち込むと、一馬くんがあたしの肩を叩いた。



「照れてんだって!落ち込むな!・・・てかあいつが女に名前呼ばれて返事するとか。まじで珍しいもんみたわ。」



一馬くんはにやにや笑ってる。



もうすぐ試合開始かな?


5人と5人がコートの中央に並び始めた。



ちょうど、そんな時。



「武石くーん!!」


「きゃー!頑張ってー!!!」


「武石くんファイト―!!!」



そこらじゅうから歓声が始まった。




「「・・・なにこれ?」」


あたしと仁奈ちゃんはほぼ同時に呟いた。



「何って、瞬の・・・ファン?あいつモテるからな。うぜえぐらい。」



・・・・えええ!!!!


だって、あの子も、あの子も、あの子もあの子もあの子も!


みんな瞬の方に携帯のカメラ向けてない?名前叫んでない?



そんなにもてるの!?



「大丈夫だって。あいつはちぃちゃん一筋だから!」



「だったらモテるとか余計なこと言わないでよ!ちーちゃん、気にしちゃダメだよ!」



「う・・・うん・・・。」



あたしはただただ瞬の人気ぶりに圧倒されるばかりで。



・・・気にする余裕なんてないよ。