「瞬・・来て。」


あたしが両腕を伸ばすと、瞬が照れくさそうにベッドに近づいた。


「どうした?・・・甘えてんの?」


そう言ってあたしを抱きしめる。


瞬の胸の音が聞こえる。


どくんどくん・・・速い。


この音だけは、いつまでも、いつまでも・・打ち続けてほしい。




「・・・っ。」



涙が出そうになるんだ。


ぎゅっとだきしめられて



幸せなのに、変だよね。



”幸せな時は笑え”って、瞬のお願いだから。



あたしは瞬の腕の中。


口角をあげてみた。


硬く結んだはずの口から洩れるのは



やっぱり、すすり泣く声。



「・・・っふぇ・・・っ」


「うん。・・どうした?」


「・・・しゅ、ん・・・。」


「うん?」


瞬はあたしを抱きしめたまま、何度も髪を撫でてくれる。



「・・・す、き・・っ。」


「俺も。大好き。」



あたしの声は涙に邪魔されて


もうそれ以上、想いを伝えられなかった。




「大丈夫。俺が傍にいるだろ。」




瞬の低い声が体に響いて


余計に涙があふれて止まらなかった。