「ダンスしたまま聞いて。僕、さくらちゃんのことが好きだよ。さくらちゃんにちゃんと言ったことなかったなと思って。」

「いーくん‥」


「入学式でさくらちゃんのこと見て、すっげー可愛くなってて、驚いた。話し方も笑った顔も、全部が可愛いくて‥好きだなって思った。」

「うん‥ありがと‥でも‥」


ごめんなさい。
私、他に好きな人がいるんです。

そう言おうとした時、音楽が一回終わった。
「あ、終わっちゃったね。」
いーくんがそう言った次の瞬間。


「伊織様!次は私と。」
「何よ!私が先よ!」
「私のがダンス上手なんだから!」

いーくんのところに駆け寄る女子たち。
彼はあっという間に囲まれてしまった。