ピンポーン


突然、玄関ベルが鳴った。


モニターを覗くと、


ドクンッ!


慎吾の姿が映っていた。


そうだ、さっき後で部屋に行くって言っていたっけ。


慎吾への気持ちに気づいてしまった今、どんな顔で会えばいいのだろう?


ピンポンピンポンピンポン……


私が部屋にいることがわかっている慎吾は何度もベルを押す。


でも、出ることができない。


慎吾はしばらく部屋の前に立っていたが、やがてモニターから姿が消えた。


諦めて自分の部屋に戻って行ったのだろう。


そろそろはっきりさせないといけないのかもしれない。


私と慎吾の関係。


学生の頃からそうだったけれど、


医学部だとか、職業は医師、


それだけで男性から敬遠される。


学部や職業に囚われて、誰も私自身を見ようとはしなかった。


慎吾がそういう男だったら悲しいけれど、また元の関係に戻るだけ、


そう思えばいい。



.