「病人の看護は、身内の者に任せるのが一番だ。さ、オレ達はあっちに行こうぜ」


「ちょ、手ぇ握らないでよ!」


「ちょっとあなた! アマンダをどこへ連れて行く気ですの!?」


「岩さま! さあ一刻も早く部屋で安静にしねえと!」



グイグイと背中を押され、お岩さんは屋敷の奥へ。


あたしは浄化に強引に外へ連れ出されてしまった。


しま子が慌てて後を追って駆け寄って来る。


あたしを取り返そうと、浄火に向かって牙を剥きながら唸り声を上げた。



「うがあぁ!」


「お、あの時の赤鬼か。ちょうどいい。お前に謝りたかったんだ」


「ううぅーーー!」


「お前、里緒の大事な仲間なんだってな。そうとは知らずにひどい事してごめんな」


「ううぅー・・・」


「もう二度としないよ。約束する。本当にごめんな」


「・・・・・・・・・・・・」



浄火の言葉を聞いているうちに、しま子の唸り声が徐々に消えていった。


大きな丸い目が、浄火をじーっと見つめている。


やがて攻撃の気配が消え去って、しま子はすっかりおとなしくなってしまった。



・・・しま子?


面食らっているあたしの横で、浄火が笑う。


「赤鬼、お前も一緒に散歩しようぜ。さあ行こう」



あたしの手が浄火の大きな手に包み込まれる。


固くてがっしりとした感触の、意外にも温かな手の平の感触。


異性に手を握られて、不覚にもあたしの心臓はドキッとしてしまった。



・・・なに反応してんのよ! あたしのバカ!