「しま子・・・」

「うあー、うああーー」


両手の指をモジモジさせて、オズオズと背中を丸めている。


まあるい目が、ショボンとあたしを見つめていた。


『スネたりしてごめんね? 許してくれる?』


そう語りかけているのが、しま子の様子からはっきり伝わってきた。


許すもなにも、悪いのはこっちの方なのに。


あたしは思わず笑顔になって大きな体を見上げる。


「こっちこそゴメンね。許してくれる?」

「ああううぅ~~」

「うん。じゃ、仲直りだね」

「うああぁーーー」


ほんわりと嬉しそうに笑うしま子の可愛い顔。


言葉の通じないしま子と、こんなに分かり合える。


素直になれる。通じ合える。


なのに・・・・・・



「アマンダ、お疲れでしょう? さあ、中に入って休みましょう」

「あ、う、うん」


沈みかけた思考が、お岩さんの一言で遮断された。


あたしは救われたような気持ちになって笑顔を向ける。


だめだめ! 勝手にこんな暗黒思考ループに陥ったりしたら!


あたしの門川君への気持ちはもう決まっている。


なにがあっても揺るぐことなんてないんだから。


この気持ちさえあれば、なにも迷うことなんてないんだもんねー。うん!



あたしは意識的に気持ちを明るく切り替える。


そしてみんなと一緒に屋敷の中へと入っていった。