息が止まり、全身の血の流れすらも一瞬、停止する。
しま子が・・・村の子どもを殺した?
殺した? しま子が? そ・・・・・・
「そんなバカなことがあるわけない!」
あたしは全力で否定した。
ありえない! しま子が子どもを襲うなんて、どう考えてもありえない!
たとえ自分が襲われたって、弱い者には絶対に手を出さないのがしま子なんだ!
「そんなのウソだよ! 何かの間違・・・!」
「本当だ! ウソでも間違いでもない!」
あたしに負けないぐらい大声で、その人は叫び返してきた。
「大きなひとつ目の赤鬼が、あの子を・・・!」
そこまで言って涙に詰まり、彼はむせび泣き始める。
「可哀そうに。まだほんの子どもなのに、ああぁ、可哀そうに・・・」
両頬からボタボタ流れ落ちる涙を、あたしは呆然自失で眺めていた。
じゃ・・・本当に?
ほんとに、子どもが襲われて死んだの・・・?
その現場に、しま子が?
ドクドクと心臓が鳴り響き、息がどんどん苦しくなる。
こめかみに冷たい汗が浮かび、指先がジンと痺れて痛んだ。