「長ーーー! 長ぁぁーーー!」
頭の中でこれからの計画を練っていると、洞窟の入り口の方から叫び声が聞こえてくる。
なんだ? と振り返ると、若い男の人がこっちに向かって走ってくるのが見えた。
途端にあたし達全員に緊張が走る。
あの真っ青な、恐怖に凍った形相!
きっと何か良くないことが起こったんだ!
「おいどうした! 何があった!?」
「じょ・・・浄火・・・良かった、お前もここにいた・・・」
浄火の友人らしいその人はフラフラと浄火の肩に倒れ込む。
顔中汗でビショぬれで目の焦点も虚ろで、今にも失神しそうだった。
村からここまで、死にもの狂いで全力疾走してきたんだろう。
顔色がひどく悪い。ヤバイ、呼吸困難になりかけてる!
「しっかりしろ! 横になって落ち着いて息をするんだ!」
「・・・海岸に・・・化け物が・・・」
「なに!?」
「鬼が・・・大きな赤鬼が・・・出た!」
あたしは声をあげそうになって、慌てて口元を手で覆った。
海岸の赤鬼!? それ、しま子の事じゃん!
しまった! 見つかって騒ぎになっちゃったんだ! あぁ、どうしよう!
おろおろとパニックになっているあたしの目の前で、その人はさらに絶叫した。
「その赤鬼が・・・村の子どもを襲って殺しやがったんだ!」
「・・・・・・・・・・・・!?」
あたしの頭は、真っ白になった。