「われらは、そちらの不合理な都合で島へ流された者。このうえまだそちらの都合を押し付けるか?」
「そ、それとこれとは違うもん!」
「違わぬ。島の中では外の道理など通用せぬ」
「こんの、意地悪ババァめー!」
「まあまあ、ちょいとお待ちよ」
主さんがスルスルと進み出て、なだめるようにみんなの顔を見回した。
そして首をもたげて、ルビー色に光る両目で長を見上げる。
「ねぇあんた、いいトシして反抗期の子どもみたいな理屈をこねるもんじゃあないよ」
「お前・・・異形、か?」
長がはっきりと主さんに対して嫌悪の感情を表した。
かまわず主さんは、こんこんと諭す。
「遠路はるばる、あの海を越えて訪ねて来たんだ。そこを察してやったってバチは当たら・・・」
「去れ」
「・・・・・・はあ? なんだって?」
「去れ。異形め、誰に断ってこの島へ入った?」
たたみ掛けるようにして、長が主さんの言葉を遮る。
「ここはお前のいる場所ではない。早々に去れ」
「・・・・・・・・・・・・」
「去れ。お前のような穢れた存在が島にとどまる事は、決して許さぬ。目の前から消えよ」
その言葉を聞いて、あたしの腹の中でボッと炎の燃える音がした。
(・・・穢れた存在だぁ!?)