感情の読めない長の唇が、思わせぶりに動き出す。


お岩さんのノドがゴクリと音をたてて動く。


そして・・・・・・長が答えた。


「教えぬ」

「「なんでー!?」」


思わずお岩さんとあたしで綺麗にハモってしまった。


なにその、溜めに溜めまくった後の意外な展開! ふざけてる!?


「なんで教えてくれませんの!?」


「そーだよ! 理由はなにさ!?」


「この島へ渡った者は、その時点であちら側とは縁が切れる」


「だから!?」


「縁が切れた者同士、会う理由など無し。よって会う事は、まかりならぬ」


「ま・・・まかってよ!」


あたしは浄火の体をグイッと押しのけ、長の前に座り込んだ。


ここで素直に「はいそーですか」って引き下がれないの!


意地悪しないで教えてちょうだいよ!


「だって、そっちに理由は無くてもこっちにはあるんだもん!」


「ない」


「あるってば!」


「あったとしても、そちらの都合などこちらには何の関係もない」


こ・・・こんのババ! 激しくムカつくんですけど!


このババもあのババも、こっちの世界のババって軒並みムカつくやつばっかり!


話しの分かる、可愛いキュートなババっていないのかしら!