「お前たちは、力無き女か?」
長のしゃがれた声が唐突に沈黙を破る。
あたしは質問の意味が分からず、一瞬うろたえた。
え!? え!? ち、血から泣き女!?
・・・・・・あ、ちから無きおんな、か。
なんだ、いきなりすごいホラーな単語が飛び出してきてマジでビビッた。
この長の口からそーゆー言葉を聞くと、なんかえらく効果バツグンなんだもん。
祭壇で生贄にされるのかと思っちゃったよ。
つまり神の一族の力を持たない女性か? って確認してるのね?
「いえ、あの、あたし達はそうじゃなくて・・・」
「ならば、持つ者か?」
「えっと、はい、そうです・・・」
「持つ者が、常世の島に何用か?」
「この島の住民のことで、教えていただきたいのです」
お岩さんが勢いよく一歩前に進み出た。
胸の前で両手をギュッと組み、緊張した表情で訴える。
「権田原から来た、産婆の女性がいるはずなのです。島のどこに居るかご存じありませんか?」
「・・・・・・・・・・・・」
お岩さんの目と長の目が合った。