手に冷や汗をかき、ジグザグに渡っている板の上を慎重に奥へ進んでいく。


下を見ないように意識して、お尻がムズムズする感覚に懸命に耐えた。


ひー、ヒザがガクガク笑うよぉ! 心臓ドキドキするよぉ!


なんだっけ? 『吊り橋効果』だっけ?


恐怖のドキドキを、頭が勝手に恋のドキドキと勘違いしちゃうってやつ。


・・・・・・・・・・・・。


お岩さんと恋に落ちちゃったりしたら、どーしよー!


・・・まだか!? まだこの恐怖アクテビティーコースは終了しないのか!?


「もうあたし、泣くぞ!? 泣いちゃうからね!?」


「アマンダ、さっきからわたくし、なんだか楽しくなってきましたわ」


「お岩さん大丈夫!? なんか、不思議に胸がトキめいたりしてないよね!?」


「どうですかしら? とにかくまったく平気ですわ。ほらほら」


「ぎゃーヤメてー! お願いだからこんな所で激しく屈伸運動しないでー!」


「やかましい娘っ子達だねぇ。そらご覧? 着いたようだよ?」


「え!? 着いた!? ほんとに!?」


半泣きしながら前を見れば、板渡りの道はここで終わっていた。


その先は、これまでが嘘のように平たいしっかりとした岩盤が広がっている。


やったー! 到着ー! 良かったぁ!


今までビクビク歩いていた板の上を、思い切り速攻で、まるで青春のように駆け抜けてしまった。