大きな桜の樹は樹齢数十年は経過しているような立派な佇まいで、思わず走りよってしまった。

綺麗で優美な桜の樹。不思議と目が離せなくてただ眺めていた。





いつまで眺めていたんだろう。凄く長く眺めていた様な気がするけど、数秒しか経ってなかったのかもしれない。

「なあ」

突然、少し低めの少年の声が聞こえた。

振り向くと眼鏡をかけた、でも意思の強い感じの男の子が立っていた。

「どうかしました?」

年齢がよくわかんないから敬語で話しかける。

彼は黙って私の少し前を指差す。

「あ……」

そこには彼の荷物とおぼしきものがおかれていて、私はその前に立っていたのだ。

そりゃ邪魔だよね。