*
ヨミに連れられて歩くと、あっという間にヨミタケ郵便局の入り口まで辿り着いた。
どうしてだ。俺一人で歩くのと何が違うんだ。
「貴方は、きちんと死んでもいませんから色々と不安定なんですよ。そのくせ、越えられないはずの生死の境を行き来することには長けているんだから困ります。半死の状態で地獄に行ける人など珍しいんですけどね」
「それは嬉しくもない特技だな」
「まあゆっくり説明させてください。大丈夫、後でちゃんと僕がお送りしますよ」
「おう」
そうして、俺はもう戻ってくるつもりのなかった郵便局に入った。
出て行く前と少しも変わりないのに、どこかよそよそしく感じるのは、俺の中でもうここは過去の場所だからだろう。
客の場所であるカウンターの外側に座り、ヨミを見据える。
ヨミはカウンター内に入り、いくつかの書類を取り出しながらつぶやいた。
「何から話しましょうかね。そうだ。タケさん、珈琲をいれてください」
話を聞くために前のめりになっていた俺は思わずずっこける。
「この期に及んでそれかよ」
「だって、タケさんの珈琲飲めるのは最後になるかもしれないじゃないですか。とっておきの一杯をいれてください」
「ああもう、わかったよ」
俺は立ち上がりカウンターを越え、慣れた動作で準備をする。
ヨミは俺を嬉しそうに眺めながら、俺の作業が終わるのを待たずに話始めた。
ヨミに連れられて歩くと、あっという間にヨミタケ郵便局の入り口まで辿り着いた。
どうしてだ。俺一人で歩くのと何が違うんだ。
「貴方は、きちんと死んでもいませんから色々と不安定なんですよ。そのくせ、越えられないはずの生死の境を行き来することには長けているんだから困ります。半死の状態で地獄に行ける人など珍しいんですけどね」
「それは嬉しくもない特技だな」
「まあゆっくり説明させてください。大丈夫、後でちゃんと僕がお送りしますよ」
「おう」
そうして、俺はもう戻ってくるつもりのなかった郵便局に入った。
出て行く前と少しも変わりないのに、どこかよそよそしく感じるのは、俺の中でもうここは過去の場所だからだろう。
客の場所であるカウンターの外側に座り、ヨミを見据える。
ヨミはカウンター内に入り、いくつかの書類を取り出しながらつぶやいた。
「何から話しましょうかね。そうだ。タケさん、珈琲をいれてください」
話を聞くために前のめりになっていた俺は思わずずっこける。
「この期に及んでそれかよ」
「だって、タケさんの珈琲飲めるのは最後になるかもしれないじゃないですか。とっておきの一杯をいれてください」
「ああもう、わかったよ」
俺は立ち上がりカウンターを越え、慣れた動作で準備をする。
ヨミは俺を嬉しそうに眺めながら、俺の作業が終わるのを待たずに話始めた。