もうちょっと言い方とか……優しくなんないかな?


そしたらちょっとは話しかけやすくなるのにさ。



無愛想でぶっきらぼう。


冷たい、冷酷、クールなんて言葉が爽にはピッタリ。



玄関まで行くと、下駄箱でローファーに履き替えた。



5月の心地良い風が、そよそよと玄関を吹き抜ける。



風になびくスカートを手で押さえながら、小走りで爽の隣に並んだ。



そしていつものように無言のまま歩く。



だけど



「な、なに?」



刺すほどの視線を感じたあたしは、隣にいる爽の顔を覗き込みながら首を傾げた。



そんなに見られると


穴が空いちゃうんですけど!



「どこのケーキ屋に行きたいワケ?」



淡々とした口調でそう聞いて来た爽は、なぜか真剣な顔であたしを見ている。