「ならそれでチャラにしてやるよ」



「は、はぁ!?いや、だから理由を……」



「言うわけねぇだろ」



「な、なんで?」



あれだけ、怒っといて。


いつか言うって言ったくせに。



「いいから、行くぞ!」



理由をはぐらかす爽は、そう言ってスタスタ歩き出した。



ミルクティー色の髪が日に透けてキラキラ輝いている。



その後ろ姿に思わず見惚れていると、クルッと不意に振り返った。



「早く来いよな」



イタズラに微笑むその顔を見て、胸の奥がキューッと締め付けられる。



爽を目の前にすると、心臓が暴れ出して普通じゃいられない。



この気持ちを


あたしは知っている。


しんちゃんの時と同じだから。