「クスクス……。此処は面白いですねぇ…」
「そうだな。どうして此処に来た?」
土方は部屋に入れ、腰を下ろすと煙管を噴かし始めた。
悠は二本の刀を腰から抜き、置いて座った。
「隊士希望ですよ?そのままです。此処にはゴロゴロと強い人がいると聞きまして…」
悠は笑みを浮かべた。
その笑みは何処か黒いものを感じるものだった。
土方は煙を吐き出した。
「何故、手を抜いた?」
「さっきから質問ばかりですねぇ…。……あの場で組長が負けたとあらば示しがつかないでしょう?」
土方も納得せざるを得なかった。
何処から来たかも分からない奴に負けるなど隊士の信用が落ちる。
悠が強いのは土方も知っていた。
近藤に呼ばれまさかとは思ってきたらこれだ。
「本当に隊士と同じでいいんだな?」
「はい。襲ってきたら斬り捨てても構わないのであれば。」
土方は声を上げて笑った。
悠は土方よりも年下だ。
それで道場主として立派にしてきたのだから凄いものだろう。
だが、悠に流派はない。
何とも可笑しな話だ。