「無理なんですよ…」
悠は刀を納め、見下ろしていた。
吉田の死体を。
そして、そこで何があったかなど誰も知らない。
悠は沖田や藤堂、永倉を探しに部屋から出た。
「悠、終わったの?」
「はい。それは……」
「あぁ…これ、平助。額斬られたみたいでさぁ…」
永倉が引き摺るようにして運んでいたのは藤堂。
ならば、悠が探すのは沖田一人だ。
あっちこっち、血だらけだった。
障子に飛び散った血や死体から流れ出ている血。
真っ赤だった。
「沖田さーん…」
「ゲホッ、ゲホッ……」
咳き込む音が聞こえた。
誰のかも分からないまま悠はその咳に向かっていった。
ただ酷く、苦しそうだった。
「沖田さん…?」
その咳き込む音の人は沖田だった。
その口元からは僅かに血が流れていた。
「沖田さん…!」
沖田は倒れた。