「っ……。貴方たちが悪い。」
「へぇ…。僕たちが?利用出来るものを利用して何が悪いのさ。」
吉田はあくまで平然として悠と戦っている。
二人の会話を聞いていた永倉は訳が分からなかった。
分かる筈がなかった。
何度もぶつかり合う刀。
近くにいた永倉はただ見ているだけだった。
「ほら、負けてるよ!また……戻りたい?」
「っ…!嫌!絶対に彼処には戻らない!」
悠の刀が一本飛ばされた時だった。
吉田の刀が頬を掠めた。
「あーあ……。バレちゃうね、これで。」
吉田はニヤリと笑った。
悠の頬からは血が流れていた。
だが、悠がそれを手のひらで擦ると傷は跡形も残っていなかった。
「永倉さん、さっきから平助と沖田さんの姿が見えません。……探してもらえますか?」
悠は飛ばされた刀を拾いまた吉田へと突っ込んでいった。
「分かったよ。悠、死んじゃ駄目だよ。」
永倉は二階へと上がっていった。