「そりゃあ私だってね。最初から強い人なんて殆んどいない。特に私は…女だから。」


男と女では力の差というものが大きい。
そして、この時代女が刀を取るなんてあり得ないことだ。

怪しまれるだけ。


「それでも…今は強い。」


「ははっ!そう、今はね。金吾もなるんだよ。」


悠が木刀を振り下ろすと音が全然違っていた。
それを見た上田はまた素振りを始めたのだった。


「悠!土方さんが呼んでるよー。」


藤堂が呼びに来た。
悠は何となく分かっていた。

悲鳴が聞こえなくなった辺りから。


「金吾、その辺にしておきなよ。……今日は大仕事だ。」


悠は笑って道場から出た。