「………?……さん?」



沖田が声をかけてきているのも聞こえていなかった。
けれど、気配で感じ取ったのか襖の近くに行き、少しだけ開けた。

笑った顔を覗かせている沖田の袖を少し引っ張った。


「悠さん…?」


その手は小刻みに震えていた。
沖田は襖を開け、中に入ったら閉めた。


「どうしたんですか…?話してくれないと__」




「怖い……。私は…また……」



沖田は何に怯えているのか分からなかった。
けれど、拷問の声が原因なのは明らかだった。

静かな部屋に二人だけ。
聞こえてくる筈の悲鳴も聞こえなかった。


「悠さん…?貴女は…此処にいますよ?私も隣にいます。」


沖田は悠の手を優しく包み込んだ。
大丈夫、大丈夫と何度も優しく声をかけた。