「お、俺……」
「いいよ。気にしてないし、こんなことになると思ってた。稽古と本番は違う。それが分かればいいんだよ。」
悠はいつもと何一つ変わらない笑みを浮かべた。
その様子を見ていた土方は何も言わなかった。
土方も何となく分かっていたことなのだろう。
そして、その帰り道。
「悠……俺…甘かった。覚悟が…足りなかった。」
悠は笑った。
土方もフッと笑みを浮かべ煙管を噴かした。
「それが分かれば十分。さ、また明日から稽古だ。隼人が殺せない分は私が殺す。殺せないならそれなりのやり方を考えるんだ。」
悠は人を殺すことを躊躇わなかった。
それは悠が人を斬るのが初めてではないということだった。
悠は笑って先を歩いていってしまった。
土方と二人で取り残された和田はただ足取りが重かった。
何と言っても隣にいるのは鬼の副長だ。
「……いい組長だろ?」
土方は先を歩く悠を見て言った。
「はい。……副長は何故、俺たちを悠の組に?」
「単純に強くなって欲しいってのもあった。あいつの稽古は滅茶苦茶だからな。」
土方も知っていた。
昔、一緒になってやったものの疲れ、暫くは立てなかったという。