「ゆうひゃん…?」


沖田は口に団子を頬張りながら悠の名前を呼んだ。
悠はごった返す人を見つめたまま動かない。


「皆さん、ご馳走様でした。」


そして、悠は走り出した。
いきなりすぎて誰にも止めることは出来なかった。














「大丈夫ですか?」


悠の耳に入ったのは女が浪士に絡まれているということだった。
たまたま甘味処の前を歩いている町人が話していた。


「あぁ?てめぇ、何もんだよ。邪魔するな。」


悠は男が振り下ろした刀を防いでいた。
男は長州訛りだった。
最近、過激派が増えてきていた。

何が原因か全く分からないが。


「何処でもいいじゃないですか。それより、女の人相手に刀まで抜くなんて武士の風上にもおけませんね。」


悠は男の刀を弾いた。