「なぁ、悠。何で此処に来たんだ?お前、道場主なんだろ?」


「正確にはそうだった、ですね。……今は道場などありません。」


悠はうつ向いた。
その場が静かになり、三人は何か聞いてはいけないことを聞いたような気がしていた。




「おい、どうすんだよ…」


「え、僕に聞く?」


「だって、平助が聞いたことでしょー?」


悠の後ろで小声で話す三人。
勿論、小声とは言え、近いので丸聞こえだが…

悠は聞いて聞かぬふりをした。




「ね、ねぇ。それ以上は聞かないからさ。僕と遊びに行こうよ。」


藤堂はにっこり笑った。
実はこう見えても藤堂は町娘に人気でこの笑みで落としている。


「いえ。私はそんな……」


「いいじゃねぇか、行ってこい。」


たまたまそこを通りかかった土方だった。
三人だけではなく悠も驚いた。

よくよく考えてみれば此処は縁側。
誰もが通るところだが、この三人がいることで普通の隊士は近付けず別の場所を通っていたようだ。


「お前らがそこにいると邪魔なんだよ。邪魔。」


「土方さん、二回も言わなくても……」


「あー、分かった分かった。」


土方は適当にあしらっていた。