斎藤一
三番組組長、沖田とは腕を争う剣客だ。
この時世には珍しい左利きで普通は直すものだが、斎藤は直していない。
原田左之助
十番組組長。
刀より槍の使い手だ。
何より、身長が大きい。
「あー!!一が名前覚えてる!」
「本当だ!めっずらしい~…」
悠は首を傾げてその様子を見ている。
どうやら斎藤が名前を覚えていることが珍しいようだ。
普通ではないかと思ってもいた。
「一くんが名前覚えるなんて。……雨でも降るんじゃないの?」
そんなに珍しいことなのか。
藤堂たち三人はからかっている。
「や、やめろ。俺だって名前くらい……」
「へぇ…。じゃあ、彼処で洗濯してるのは?」
永倉は中庭で一人で洗濯をしている隊士を指差した。
斎藤は少し目を細めて見ていた。
「……分からぬ。」
「ほら!悠、良かったな!斎藤に名前を覚えてもらうことなんて隊士の中じゃ伝説に近くなってんだぜ!」
「そんなに……。斎藤さ……あ、いえ。斎藤組長、少し努力を…」
「別に、呼び方など気にはせぬ。」
斎藤は少し顔を赤くして通り過ぎていった。