場面変わって、大きな机と山積みの資料が置かれたとある一室。


手に持った資料に目を通している白雪姫。その傍らで、資料を整理している男、剣士であるギルが今にもサボろうとしている姫様を監視するようにぎらぎら目を光らせている。


『ギぃーるー』

『まだ駄目です』

『つーかーれたーぁ』

『……』

『ギルの入れた紅茶を飲むまではやる気がでないー』


机にべたーっともたれかかって手足をバタバタさせる白雪姫を見かねて、ギルは大きくため息をつくと立ち上がる。

『少し休憩したら、絶対に仕事してくださいよ』

『はあーい』

やる気のない返事を背中に浴びながら、ギルは部屋の隅に用意してあったティーセットで紅茶を入れ始める。

ぽぽぽ、とカップに紅茶が注がれる音と白い湯気がゆらゆらと宙に消えていく様子を、じいっと白雪姫が見つめ続ける。

カップの乗ったお盆を白雪姫のところまで持って行くと、彼女の目の前に入れたての紅茶を置いて、


『淹れましたよ』

『ありがとう』


白雪姫がほほ笑む。それをみると、ギルは少しだけ顔を赤く染めてすっと、視線をそらしてしまった。