剣と剣のぶつかり合う音が部屋中に響き渡る。

剣士が次から次へと王子に向かって、剣を突き立てていく。それを最小限の身のこなしでそれをよける。

王子はまだ片目の視力が戻らないのか、右目かすかに細めて応戦する。


『───っく……!』


それを狙ったかのように、剣士が右側に回ってそのまま水平に剣を突き立てる。が、すんでで王子が顔を横にそらして避ける。よけきれなかったせいか、剣で切れた王子の髪がふわりと空中に浮かぶ。

───ギイン!!


剣士の剣に這うように、自らの剣をすべり込ませて、剣士の顔めがけて剣を突き立てた。目にも止まらない速さで、それをよけ、王子の剣をはじき返す。

後ろに跳ね返し、隙が、できたことを剣士は見逃さなかった。態勢を立て直そうとした王子を畳み掛けるように、一気に距離を詰める。

一手で、王子の剣を振り落す。振り上げられた蹴りをするりとかわし、握りしめた拳を王子の腹に打ち込んだ。重い一撃に王子の口から赤黒い血が飛び散る。



『……っ……!』


王子のうめき声が聞こえたかと思うと、後ろに数メートル飛ばされ、そのまま鈍い音を立てながら壁に背中を打ちつけて止まる。


浅く呼吸を繰り返し、伏せたままの王子。手探りに剣を探そうとするのを牽制するように、剣士が王子に向かって刃を突き立てた。