とてつもない大きな爆発音とともに、地面がぐらりと揺れる。間髪入れずに、部屋の中にころころと何かが転がる。


それは、金属製の玉だった。



───キィィィン!!



鼓膜を突き刺すような鋭い金属音と、目くらましの強い光。


白雪姫は何が起こったのかわからず、その場に倒れこむ。聞こえるのは、乱闘をする声と、剣を振るう音、焦った兵士たちの足音。


いきなりの出来事に、足がうまく動かない。手探りで地面をずって歩いていた、その時だった。








『───ご無事ですか、白雪様』




優しく、白雪姫を包み込むような声と、重ねられた手のひらの体温。

一瞬言葉を失う、そして光のせいでぼやけた視線をゆっくりとあげていく。


『お待たせして、申し訳ありません』

『ぁ、……どう、して』


だんだんと、閃光弾の光が弱まっていく。白雪姫の白い頬に、つうっと一筋の涙が零れ落ちる。周りの喧騒も遠のくほどに、彼女は頭が真っ白になってしまっていた。


『俺は、あなたの剣ですから、守るのは当然ですよ』


頬に触れる、そしてここに───あの時殺されたはずの剣士がいることを、現実であることを知って。


『ギ、ル……っ』


思わず飛びついて、剣士を抱きしめる。そして、その温かさに彼女の涙が止まらなくなる。何度も嗚咽を漏らす彼女の肩をそっと優しくなでながら、


『ご心配をおかけして、すいませんでした』


いまだに自分の名前を呼び続ける白雪姫にそう、一言声を掛ける。