その部屋は、変哲のない普通なところだった。
少し違うといえば、入り口に二人、おそらくお付の兵士がいたことと、その部屋の中にも兵士が数人王子と白雪姫を囲んでいたくらいだろうか。
手をひかれるがまま、その部屋の真ん中に立たされた白雪姫。
王子が目線で一人の兵士に命令をすると、厳重そうに鍵のついた木箱をあけて、そっとそれを差し出す。王子はその箱に手を入れて、それを取り出した。
『君を、永遠に離さないからね』
それは呪いのような言葉だった。
白雪姫の手を取り、手に持ったそれを左手の薬指にゆっくりととおしていく。
それを、ただただ眺めるだけの白雪姫。
これがはめられたら最後、もう逃げられないのだろうなと思いながら、唇を噛みしめる。
ほんの少し夢だった好きな人と愛し愛されながら幸せに過ごす日々が壊れる音を、聞きながら。
そして、その指に完全に指輪がはまろうとしていた、その時。
───ドンッ!!!