恭ちゃんが、離れていくのが怖くてずっと言えずにいた言葉が、ようやく言えた。


……これで、きっともう終わりだ。

恭ちゃんは、もう私の前には二度と現れなくなる。馬鹿みたいに笑い合って、楽しかった幼なじみではいられなくなる。他人になってしまう。


私は、恭ちゃんが好きで、ずっと好きだった。



だから、最後まで恭ちゃんを守りたかった。

私という罪悪感から。



恭ちゃんは、一瞬言葉を失ったように目を見開いた。そして何かを言いかけて、私から視線を逸らす。その横顔が、胸に突き刺さる。そんな恭ちゃんにいくら謝っても、きっと足りない。


これできっと最後だから。これでもう私は恭ちゃんを傷つけることはなくなるはずだから。だから、最後までやろうやり通そう。


恭ちゃんが、ぎゅっと目を閉じて小さく息を吸う。そして、すっともう一度私を見た。ひどく澄んだ、落ち着きを払った表情だった。想像もしていなかったその反応に、私は頭の中が真っ白になる。


そして、言った。



「───ハルも、もう俺を、守らなくていいんだよ」






「……え」