ぴくりと、肩が震える。それは紛れもなく、真実の言葉だった。それを裏付けるように恭ちゃんはただただ私を強く、引き寄せたまま離してはくれなかった。



ああ、そうか。

もう、恭ちゃんは決めたんだ。



この先一生、私という罪悪感が付きまとうとしても、ふとした瞬間に自分のしたことの罪の重さに苦しめられたとしても、それでもいいんだって。


そう、覚悟を決めたんだ。


……なら、私は?

私は、どうするの?


変わらないだなんて、窓ガラスになぞった文字のように消えていく儚いもの。だから、きっと変わるしかない。それが、今なんだ。


今しか、恭ちゃんを助けることはできない。


ずっと下げたままだった手を、そっと恭ちゃんの胸を押し返すように当てる。一瞬震えたその肩は、戸惑うように名残惜しく私の体をゆっくり離れていく。


そっと、恭ちゃんの顔を見上げた。ああ、いつの間にか恭ちゃんこんなに身長伸びてたんだ。知らなかった。変わっていく恭ちゃんが怖くて、私は知らないふりをしたままだったから。


恭ちゃんは、ただ泣きそうな顔で私を見下ろしていた。


「もう、いいよ」


声が震える。勝手に口元が緩んで、泣きそうになる。奥からこみ上げてきて、堪えきれそうになかった。



「……」



「もう、いいんだよ。私を守らなくて、いいんだ」


……言えた。

やっと、言えた。