いつの間にか、私は掴まれていた手を反転させて、そのまま力任せに佐藤くんの体を背負い投げる。ばんっと激しく机の散らばる音とともに、佐藤くんが床に倒れる。


私は、もう壊れてしまったみたいに何も考えずそのまま突進する。

起き上がる前に、佐藤くんが動けないように上に乗った。


「───佐藤くんに私の何が分かる!!」


零れ落ちていく。

押さえていた気持ちが、満タンだった心から崩壊して溢れていく。


知らない間に、涙がこぼれていた。それは、滑り落ちて佐藤くんの頬へ落ちていく。


「言えない、言えるわけないっ!!」


これが一番幸せなんだって、思い込んできたんだ。

これが一番、瀬尾を傷つけない唯一の方法なんだって。








「───好きなんて言ったら、恭ちゃんはきっと何もかも捨てる!!


 私が辛くないようにってバスケ辞めたみたいに……っ」