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時刻は、もう6時を回っていた。

周りにはちらほら残って作業してくれている人がいて、看板を作っていた手を止めて、私はぱんぱんと手を叩く。


すると、みんなが私のほうを向いた。


「今日はこれまでー!みんなお疲れ様ー、もう解散していいよー」


はーい、という声が返ってくる。ぞろぞろみんなが作業を中断して片付けに入り始めるのを見た後、私も作っていた看板を家から持ってきた袋に入れて、出たごみを両手に持ってゴミ箱へ。


ゴミを捨てて、自分の席へ鞄を取りに行こうとした、その時。










───バン!と、突然ドアが開いた。



教室に残っていた人たちと同じように、私もドアに視線を向ける。そこには、肩を上下させながらなんとかドアに支えてもらっている佐藤くんが、いた。


ざわざわ、とみんなが騒ぎ始める。


佐藤くんは、息を整えながら───すっと、私をまっすぐ見る。そして、そのまま迷うことなく私のところへやってくる。


そして、目の前までやってきた佐藤くんは何故か、大きく手を振り上げた。