───それは、その言葉は。


どれだけ、瀬尾の心を深くえぐったんだろう。


結城が好きで、でも言えなくてそれでも、ずっと好きで。守り続けようとした瀬尾に、その言葉が突き付けられて、それで平気で言われるわけなんて、ない。


いつの間にか、手のひらを握りしめていた。



こんなの、無意味だって分かってるけど。ただの横入りの、お節介なんだろうけど。でも、このままが嫌だった。このまま誤解されたまま、瀬尾が苦しいままなのが、嫌だった。



「分かってる、分かってる、ちゃんと分かってる！こんなの駄目だ、こんなこと思っちゃダメだって分かってる。

　誓ったんだ、あいつに蔑まれたって、嫌われたって、遠ざけられたって、たとえ隣にいるのが俺じゃなくても、守って、守り続けて、それで、いいんだって。それだけが、俺がハルの隣にいられる方法なんだってずっと、ずっと、ずっとっ言い聞かせてきた。

　なのに、馬鹿だ、俺。


　いざ、ハルにそういわれて。なのに、それでもやっぱり」



「……」




「───それでも、ハルが好きなんだ」