「───佐藤くんに、欲張りになるんだ」
「……ぁ、」
一瞬、朝比奈さんが言った言葉が理解できなくて。
朝比奈さんを振り返ろうとした、その時。
「───ごめんなさい!!」
数メートル先の、被服室から廊下を響かせるほどの大きな声が聞こえた。
さっきまでぼうっと、誰かを追うように視線を動かしていた朝比奈さんが、足音を立てずに被服室まで小走りになる。一瞬フリーズした俺も、慌てて朝比奈さんの後ろについていく。
朝比奈さんがやったように、ちょうど出口の曇りガラスになっている窓から覗き込むようにして、身を乗り出す。
そして、そこにあった光景に目を張った。