───全部、私を守るためだって、分かってしまった。
「……お」
声を振り絞る。
瀬尾の声は止まらない。
ぽた、と一つ手の甲に透明な雫が落ちる。
ああ、私は。
「だからさ、そんなに結城たちを問いつめてやるなよ。ありもしない気持ちを語られても困るだけだろ。好きなのは、俺だけだよずっと、これからも───」
「───瀬尾っっ!!!」
私は、また。
心の底から叫ぶように、私は瀬尾の言葉を遮った。一瞬にして、騒いでいた女子たちも私たちの会話を盗み聞いていた連中も、誰一人として口を開かなかくなる。
すっと、顔を上げる。
ゆらゆら、視線が定まらない。そして、ようやく───焦点が合っていく。そして、そこにあったのはただ、今にも涙をこぼす寸前の、見ている私の心が張り裂けそうになるほど顔を歪めた、瀬尾。
ああ、私は。
───また、瀬尾を傷つけてしまった。