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教室に戻ると、すでに机と椅子が下げられて演技の真っ最中だった。


「やーやーお待たせしましたー」


私はなるべく大きな声を意識しながら、バンと勢いよくドアを開ける。一斉にみんなの視線が集まる。


なんとなく視線を移動させると、なぜか教室のど真ん中でタンクトップ姿の男子が腹筋していた。あれ、私たちがやるのって童話だよね?見るからに違うよね、これ。


思わずツッコみたくてうずうずしていると、教卓の前に立っていたらしい瀬尾が私のところへやってくる。そして両手に持った紙をぺらぺらと指ではじいた後、


「台本印刷できたから、お前らちょっと練習中断ー!

 台本組むの手伝えー」



瀬尾がそういうと、教室全体からあーいとやる気ない声が返ってくる。瀬尾は私の手に持っていた台本の紙を半分持ち上げると、不思議そうな顔をして言った。


「割かし時間かかったな」

「ちょっくらコピー機一台亡き者にしてきたから」

「は!?お前っまさか、」

「嘘だよ」


なんでそんな騙されてんだよ。少し切なかった。