その言葉が、私の心に深く刺さる。

あの時、どうか言わないでほしいと必死にお願いした私を、佐藤くんは一体どう見ていたんだろう。そして、今も。


今にも壊れそうな、脆い心から気持ちが溢れて行かないように誤魔化し続ける私を、佐藤くんは一体、どう思うんだろう。


……もう、正解は出てるか。


〝分からない。〟


たぶん、佐藤くんの言うことは正しい。


きっと、佐藤くんでなくてもそう思う。そんな佐藤くんの真っ直ぐな言葉が、私の心を深くえぐる。


だって、これは、私のエゴだから。

酷く、滑稽で、そして醜い、私のエゴだから。



「……瀬尾、辞めちゃったんです」

「え?」


ぽつり、と言葉が漏れた。ちっぽけな私の声が廊下に響く。ぎゅっと握りしめた台本はもうきっと、端がしわくちゃになっているだろう。


佐藤くんを直視するのも、辛くて。どこまでもまっすぐで素直な佐藤くんを見るのは、いつの間にか道を踏み間違えてしまった私には、どうしても見ることができなくて。


私は、震える声でそれでもなお、笑った。





「…………バスケ、辞めちゃったんです」





全部、全部、私のせいで。