その兵器の出所は、正確なところは誰も知らない。

遥か古に生み出されたものだという者もいれば、遠く異世界より伝わってきたものだという者もいる。

いずれにせよ、それはこの時代、この地には存在しなかった技術。

『ダイナマイト』

それがその魔道の兵器の名称だった。

特殊な調合をされた薬品を使用し、火をつける事で、その火が何十倍、何百倍もの威力となって破裂する。

山を切り崩したり、大岩を取り除いたり、利用価値はあるものの、戦で使えばこれ程恐ろしい兵器はなかった。

帝国軍も十ほどしか所有していない貴重な兵器だ。

だが、十もあれば十分だった。

未知の兵器。

そしてあれ程の威力を誇る兵器だ。

如何に屈強な東の兵士とて、その恐怖には動きも鈍る。

尻込みもする。

その隙に帝国兵達は次々と進軍してくる。

「何をしている!早く止めろ!」

王の命令で果敢に立ち向かう騎士達。

しかし。

「ぐああああっ!!」

再び魔道の兵器による爆発。

数十名の騎士達がその犠牲となった。

凄まじい炎と爆発。

その威力の前には、為す術もなかった。