一人の帝国兵が、おかしなものを持ち出した。

…形状は蝋燭に似ている。

蝋燭よりも大きくて、蝋燭で言う芯の部分が少し長い。

兵士はその芯に、あらかじめ準備していた火種で火をつける。

火花を散らしながら、芯は燃えてどんどん短くなる。

その芯が燃え尽きるか尽きないかのうちに。

「!」

兵はその蝋燭もどきを東の軍の陣に投げ込んできた。

…東の兵達の足元に落ちる蝋燭もどき。

兵達は一瞬戸惑う。

当然だろう。

それが何なのか知らぬのだ。

知っていればすぐにでも投げ返していたに違いない。

…次の瞬間。

「!!!!!!?」

凄まじい大音響と共に爆発が起こった!!

炎と爆風。

その想像を絶する威力に東の騎士達は吹き飛ばされる!!

地面に叩きつけられる者、谷底に転落する者、五体のどこかを失う者。

いずれにせよ、無事では済まなかった。

兵士達は息を呑む。

「ま、魔術!?いや、妖術か!?」

どちらかはわからぬ。

ともかく東方同盟にとって、それは脅威的な戦術であった。