点すら消えた。

先程以上の速さの紅の突きが、皇帝の眉間目掛けて襲い掛かる!!

これ程の速さの突きは、私でもかわす事も捌く事もできぬかもしれない。

それ程の一撃を。

「ぬぅんっ!!」

皇帝はまたもイアイで弾く!!

紅の突きも信じられぬ速さならば、皇帝のイアイも信じられぬ速さ。

あの領域の攻撃を、見切れる者がいるのか…!!

紅の渾身の一撃は、失敗に終わった…と思いきや。

「誰が『一撃』だと言った?」

大きく弾かれた槍。

その槍を、紅は皇帝の脳天目掛けて振り下ろす!!

そう、イアイの弱点。

それは『鞘の中』からしか放てない事だ。

一旦鞘から抜き放たれたカタナは、ただの剣に過ぎぬ。

ただの剣が相手ならば、紅に勝てぬ道理はない…!!

「もらった」

皇帝の頭蓋を叩き割らんと、真っ直ぐに襲い掛かる魔槍の穂先。

しかし!!

「俺が『イアイ』だけの男だと思ったか、たわけ」

抜き放たれたカタナ。

その返す刃で。

「がはっ!!」

皇帝は紅の胴を横薙ぎに斬りつけた!!