「琴菜、お金、置いとくよ」

隆志(りゅうじ)さんはあたしの机に一万円札を数枚置いた。


「うん…あれ?今日いつもよりお金多くない?」


「それはおまけ。今日良かったから」

「えっ…!」

「じゃ、俺そろそろ帰るね」

「うん、じゃあね」

隆志さんはあたしの部屋のドアを開けて階段を下りていった。
頭の中でさっきの言葉がリピートしている。

『今日良かったから』


隆志さんに、あんなことを言われたのは言われたのは初めてで、嬉しくて顔がにやける。やっぱり隆志さんの事が好き。
たとえ叶わない恋だと分かっていても。