「なぁ、そこのお姉ちゃん!」

あたしはその声に止まりもしなかった。

ふと腕に違和感を覚え立ち止まった
腕を掴まれていたのだ。

「は?」
と言いながら顔をあげると
ケバい化粧したキャバ嬢らしき女。

「なあ、お姉ちゃんいくつなん?よかったらさ、あたしの店で働かん?今働ける子探してるんよ〜。お姉ちゃん可愛いし売れると思うで〜♡」

明らかに語尾にハートのついてそうな喋り方で女は言った。

「いや、あたしまだ16やし…」

あたしはそう言って断ろうとした。

「え、うそやん!働こーや!年なんか誤魔化したらてええねんてー!」

ケバい化粧のキャバ嬢は諦めの悪いようだ。
あたしがなにを言っても無駄。
あたしが困ってた、そんな時。

「そこの綺麗なお姉さーん。可愛い女の子イジメちゃダメだよー?かわいそう。」

1人の男の声がした。

ふと顔をあげると
美形で綺麗な顔をした男。

つい見とれてしまった。
あたしが声も出ないうちに
男はケバい化粧のキャバ嬢を口説きながら2人で歩いていった。

お礼を言いたくても
このネオンの光に集まる人だかりの中じゃ見つけられなかった。