「待ってっ………」


離れていく裄くんに、やっとの思いで絞り出した声。

涙のせいで裏返っていたけれど。

ちゃんと裄くんは振り返ってくれた。


「梨元?」


そしてあたしに駆け寄った。


「どうした?」


あたしの手を握って、問いかけてくれる裄くん。

その温もりが、勇気に変わった。


「好きっ………」

「え?」


やっと言えた気持ちは、涙のせいでかすれていたけれど。


「裄くんがっ……好きっ、だよっ」


裄くんには伝わった。

そんな気がするんだ。