「んんっ……」


浅海の唇に重なる、桑原のそれ。

俺はその光景を、時が止まったかのように、
ただじっと見つめていた。


「やっ!!」


浅海が思い切り、桑原を突き飛ばす。

桑原は不気味な笑みを浮かべながら、浅海を見つめた。


「な…んで、こんなこと……」

「浅海ちゃんが好きだからに決まってんじゃん」


桑原の表情を見たあとは、恐怖しか感じられなかった。

それは浅海も同じだったと思う。

こいつ…ただ者じゃあない。